『OI手帳』


 OI手帳作成の発端は、最近社会問題化している「幼児虐待」との関連がありました。

 「些細な理由で骨折する」OI児にとっては(残念ですが)「よくある話」です。

 日頃その子を診ている主治医はすぐに対応して頂けますが、(出先での骨折などで)OI児者の診察の経験のない医師に遭遇(?)すると… 時として「幼児虐待の嫌疑」を受けることがあるようです。調べて貰えば解ることですが、OI児の保護者として「一時的にしろ嫌疑を受けたこと」自体が、例えようもないショックです。これを防止するため「外出時には主治医の診断書を持参しよう」と、ある母さんの意見が会報に掲載されました。

 しかし「診断書はすぐにボロボロになってしまうし、他の患者会さんでは独自のファイル・ノートを作成しています」とのアドバイスを受け、当然「どうせ作るのならば、良いものを作りたい」と考えるようになり、OIに詳しい各科の医師や医療・福祉関係の方たちの間を飛び回り、ご協力を戴き充実したOI手帳を発行できることになりました。

 その一部を紹介すると…

 骨形成不全症 (OI)は「骨が弱い (骨折し易い)」ことを主な症状とする、稀な骨の病気です。原因は、体内の結合組織 (T型コラーゲン)に関する遺伝情報が、本来の機能を果たさない事によります。その為に「骨が弱い」だけでなく、青色強膜・難聴・歯牙形成不全・呼吸器系・循環器系の疾患など、様々な症状が伴う場合が良く見受けられます。
 他の診療科を受診する際、必ずと言って良いほど聞かれる言葉は「××科の先生は、何て話しています?」です。当事者として「体調の悪い時、正確に対応出来るか?」「大切な事を忘れたりしないか?」と診察を受けるたび不安になります。
 また成長するにつれて、骨折の回数・状況などの記憶も薄れてしまいます。併せて保育園や学校などで、新たに本人(OI児者)と関わられる方に本人の状態をより正確に把握して頂く事も出来ます。
この度、厚生省科学研究班・主任研究員 (心身障害児総合医療療育センター・整形外科) 城良二医師、東京大学医学部耳鼻咽喉科 加我教授及び神奈川県立こども医療センター歯科グリーナンせつゑ医師をはじめ多くの医療関係の方々のご支援・ご協力を戴きOI手帳を作成致しました。
 ご多忙のところ、余計な手数をお掛けし誠に恐縮ですがOI手帳作成の趣旨にご理解たまわり、記入にご協力下さいますよう、お願い申し上げます。 なお、今後より良いOI手帳に育てるため、ご利用いただきまして、お気付きの点などございましたら、是非お教え戴きますよう併せてお願い申し上げます。

「OI手帳・記入ご協力のお願い」より


―ご挨拶―

 この度は、OI手帳ができましたこと心からお喜び申し上げます。
 作成に尽力された会長はじめ諸兄のご努力に敬意を表します。また、このOI手帳の作成に参加できますことを大変感謝するとともに、医療関係者としての責任の重大さを痛感しています。
 この手帳には、大きく二つの役割があると思います。一つは、患者・家族と医療・福祉関係者とのコミュニケーションがとりやすくなることです。OIが比較的まれな病気であるため、治療側にも治療経験が少ない場合があります。本来医療関係者は、患者さんとともに診療に当たりながら、次第にその人に合った治療法が行えるようになるものです。そのためにも、この手帳により患者さんの情報を正しく知り、スムーズに治療が行えることが期待されます。
 もう一つは、患者さん自身が自分のからだについて知ることです。身長は伸びているのか縮んでいるのか、骨折の回数は減っているのか、これまでの骨折の原因、治療はどうやったのか。過去の記憶はとかく曖昧になりやすいものです。この手帳に記入しながら、自分のからだについて知り、自分で治療法を選択する、そんな治療の主体になって欲しいと思います。

診療を担当される先生方へ
 骨形成不全症は、T型コラーゲンの遺伝子異常を基盤とする全身性結合織疾患です。骨折を主訴としますが、歯牙形成不全や難聴や呼吸循環器障害なども合併することがあります。患者により症状は多様で骨折のし易さ、変形の程度、移動能力も多様です。今回、このような手帳ができ、患者それぞれの状態をより詳しく正確に把握できるようになると思います。この手帳が、今後診療の一助になるために、診療された先生方に、簡単な所見を記入して頂けますようにお願い申し上げます。

厚生省科学研究・主任研究員
心身障害児総合医療療育センター・整形外科
城 良二


関連グッズ

 「PT(機能訓練)の記録」 用紙 20枚(記入40回分) 500円

 単にPT(機能訓練)の記録だけでなく、学校の体育の時間などに「どの程度の運動をさせて良いか?」との質問を受けることが良くあります。一生懸命に説明しても、なかなかうまく伝わらず困ることも… そんな時、機能訓練の先生にこの用紙に記入して戴き、体育の先生に読んで頂く事で、連携を図る事ができます。
 その他、各種の記入用紙がなくなった場合には、実費にて頒布します。


入手方法

  • ネットワークOI(特定非営利活動法人 骨形成不全症協会)の会員で、OI児者であることを確認させて頂いた方に限らせて戴きます。
  • (在庫がなくなるまでに限りますが…) 新たにOI児者が入会され所定の手続きを終えた場合、1冊贈呈しています。ご家族に複数のOI児者がおられる場合は、2冊目以降は実費(1冊2500円)を戴きます。